2016年1月14日木曜日

新年の願い 2016

除夜の鐘が鳴り響くと、
思わず知らず、私は手を合わせ、目を閉じていた。

「こういう時って新年のお願いごとをした方がいいのかな」
そう思うと同時に、冗談を言い合う家族の声が聞こえてきた。
「まったく、バカなこと言ってえ~。」
こんな言葉を耳にしたら、手を合わせ、目を閉じたままの私は、思わず知らず、こう願っていた。

「どうか、バカも少しは治りますように」

いやいや、せっかくの新年の願いなんだから、
もっと、こう、なんていうか、去年の反省に基づいて・・・

そう思うと同時に、両のつま先がムズムズしてきた。
しもやけである。

子ども時代は、冬になるたび悩まされ続けたしもやけだが、
どういう訳だか、20歳を過ぎてからこっち、ピタリと私のもとを訪れなくなった。
そのしもやけが、暖冬が叫ばれるのをよそに、
どういう訳だか、今年は足の指10本のうち8本にまで降り立ってくれた。
我が肉体がティーンエイジまで若返ったのか、はたまた単に冷えから来た血行不良なのか、真相は未だ解明されていない。

兎にも角にも、一旦かゆくなり出したしもやけほど始末の悪いものはない。
手を合わせ、目を閉じたままの私は、思わず知らず、こう願っていた。

「どうか、しもやけが早く治りますように」

いやいや、せっかくの新年の願いがこれじゃあ、いくら何でも・・・
とは思ったものの、時既に遅し。
思わず知らず、私は合わせていた手を下ろし、目を開けていた。
兎にも角にも、新年の願いはここで一旦区切りとした。

翌朝、喉が痛くて目が覚めた。
ここ10年以上風邪らしい風邪を引いたことのない私が、
寒い思いもしていないのに、どういう訳だか風邪を引いた。
よく、「ナントカは風邪を引かない」なんて言うけれど、
2016年、ついに私はそのナントカから抜け出して、風邪をひいたのである。
新年の願いのうち、一つ目が叶えられた。

丸一日布団をかぶって寝続けたら、そのまた翌朝はスッキリと目が覚めた。
しかも、つま先がかゆくない。
春になってもいないのに、どういう訳だか、しもやけがすっかり消え去っていた。
新年の願いのうち、二つ目も叶えられた。

そんなこんなで、私の新年の願いは、二つ揃って、しかも三が日にして、あっけないくらい簡単に叶っていた。
神様、仏様、どうもありがとう!

すっかり気を良くして、実家近くのお大師様へ初詣に出かけた。
両の手を合わせて、目を閉じた私は、
欲張りにも三つ目のお願いごとは何にしようか、と考え始めた。

と同時に、隣に人の気配を感じた。
「どうか足の痛いのが治りますように。
 足の痛いのが治りますように。
 足の痛いのが治りますように……」
初老の紳士の懇願が続いている。

手を合わせ、目を閉じたままの私は、思わず知らず、こう願った。
「新年の願いを早速に二つも叶えていただき、ありがとうございます。
つきましては今回もできるだけ早めにお願いいたします。
お隣のオジサマの足の痛いのが治りますように!」

あれから幾日経つだろう。
三つ目の願いも早々に叶っているといいな。