2019年4月6日土曜日

たき火あそび

盆だ正月だと言っては滞在している赤の他人の家がある。
少し日が経つけれど、かの第二の家族のもとで年越し滞在をしていた時のこと。

ご馳走にありつくためには、まずママの台所のお手伝いだ。
そんなさなか、
「これから『たき火あそび』をするんだ。来ない?」弟くんに誘われた。
彼は、盛り付け前のご馳走をチョイチョイとつまみ出し、うまく片手で持った2枚の皿に乗せると、鼻歌まじりにどこかへ消えた。

メインイベントである、除夜の鐘とシャンパンとご馳走を終えた後、表に出た。
彼の説明に従い、右に曲がって左に曲がり、けもの道を進んで石段を下りる。
たき火のにおいがしてきたと思ったら、
そこでは弟くんと髭面のお兄さんとがパイプ椅子に腰掛け、焼酎のお湯割りをチビチビやっていた。

たき火と言っても、焚いているのは落ち葉でなく、丸太の真ん中に穴を開け、内部に火をつけたものだ。
丸太の上ではヤカンがチンチン言っている。
近くにいると、思いのほか暖かい。

へえ、うまいことしたもんだ。
「これなら、家の庭でもできるね。」私の言葉に、弟くんは少し驚いたように見えた。

数日後、弟くんが言った。
「今日もまた、『たき火あそび』をするんだ!」

晩ごはんを食べていると、ガラス戸越しに庭から光が入ってくる。
何だかゆらゆらしていて、まるで火でも焚いているようだ。

何だろう。

ママも気になりだしたようで、漬物を取りに表に出た。
しかし戻って来た彼女からは一言もなく、何事もなかったかのようだ。

何だろう。
気になった私は、思いきってカーテンの裏に入り、ガラス戸の向こうを見た。
ああ、そうゆうこと!
私もママと同じように食卓に戻り、晩ごはんを続けた。

「あいつはどこに行った?」さすがのパパも何か感じたのだろう。
「あそこよ。」ママが庭を指差した。
「晩ごはんだぞ。」
「……。」
「呼んで来たらいいじゃないか。こんな目の前にいるなら。」
「……じゃあ、自分で呼んで来たら?」
「さっき漬物を取りに出た時、どうして呼ばなかったんだ?」
「……いま庭では、あの子が、たき火を挟んで、若い女の子と二人で、ワイン飲んで、デートしてるの。呼びたいなら、あなたご自分でどうぞ!」
「……。」さすがのパパだって、もう、ぐうの音も出ない。

パパとママと私の三人は、晩ごはんも、食後のお茶も、後片付けも、抜き足差し足、そうっと静かに過ごした。

弟くん、デートを楽しめたかな?
あ、それから弟くん。火遊びには、くれぐれも気を付けて。