実家近くの治療院に顔を出すと、先生が開口一番こう言った。
「もう帰ったの?」
「はい。実家に寄って、母のごはんを食べてから来ました。」
「……あ、いやいや、えっと…」
口ごもる先生を見て、察しがついた。
一週間ほど前から出張している我が兄弟について尋ねているのだった。
「今晩成田に着いて、家に帰るのはだいぶ遅くなるらしいです。」
「そうか、じゃあ間に合わないね。」
「うん、残念だけど、私はお土産貰わないうちにアパートに戻ります。」
「!」
鳩が豆鉄砲を食ったような先生を見ても、今度は全く何も思い当たらない。
しばし互いに見つめ合ったのち、
先生は意を決したように言った。
「その、僕はね、
『出張中の疲れを今日中にケアしてあげられるかな』って思ったんだ。」