ゴールデンウィークの直前、ママから電話があった。
「連休には帰ってらっしゃいよ」
私には第二の家族がある。
血の繋がりも何も無い相手だが、もう20年以上のお付き合いになる。
盆だ正月だと言っては、毎年のように『帰省』していたけれど、
ここ2年ほどだろうか、互いのどちらかの都合がつかずに、ご無沙汰していた。
そしてその『ママ』から、『帰ってこい』と電話があったのだ。
電話口のママは続けた。
「何よ。暦通りにしか休めないの?
短いわね。中三日じゃない。
それに連休にピッタリ合わせたら、交通費も高いわよ。
まあいいわ。
とにかく、今すぐ切符を予約しなさい。
大事なのは日数でも費用でもない。
私たちが実際に会うってことなんだから。」
大事なのは、私たちが実際に会うってこと
何十年も前に読んだ、否、読み聞かせてもらった文が頭に浮かんだ。
「山また山を見ず。人また人を見る。」
どこかの国のどこかの地域の、ことわざか何からしい。
山は、他の山に会いたいと思っても、お互い動けないから、会いに行くことはできない。
でも人は、誰かに会いたいなら、お互い生きてさえいたら、会いに行くことができる。
そんな意味合いと説明されていた。
電話を切ると、すぐさま交通手段を探した。
切符が高くても、駅や空港が混雑していても、まあいいか。
だって、
会いたい相手がいるんだもの。
そのうえ、せっかく、お互い生きているんだもの。