「『はい』か『いいえ』で答えなさい。
『なんでも かんでも たべられる』ですって。」
問診票でそんな尋ね方、果たしてするものだろうか?
健康診断の情報として、何を知ろうとしているのか、どうにも掴めない。
偏食について知りたいなら、「好き嫌いなく、なんでも食べる」といった表現が妥当だろう。
「いっそのこと、
『スリッパでもお鍋でも、なんでも食べます!』って答えてやろうかしら。」
質問も質問なら、答えも答えだ。
本人も「いっそのこと」というだけあって、随分と投げやりに出たものだ。
そもそも、「はい」か「いいえ」が求められているところで、
あまりにも答え方が自由過ぎるではないか。
「あら!」
自由人が何かを発見したらしい。
「『なんでも かんで たべられる』ですって!」
問診票は正しかった。
歯や歯茎、口腔内の問題の有無を知るために、「何でも噛んで食べられる」か、と尋ねていたのだ。
「いやね、なんでもかんでもひらがなで書くんだもの。」
確かに。
なんでもかんでもひらがなで書かれると、読みにくいばかりでなく、
こうした読み間違いを大いに誘発する。
まるで落とし穴でも掘られた気分だ。
あなたはスリッパやお鍋までもお召し上がりか?