2019年6月1日土曜日

なんでも かんでも たべられる

健康診断の問診票とにらめっこしながら、母が何やら訝(いぶか)しがっている。

「『はい』か『いいえ』で答えなさい。
『なんでも かんでも たべられる』ですって。」

問診票でそんな尋ね方、果たしてするものだろうか?
健康診断の情報として、何を知ろうとしているのか、どうにも掴めない。
偏食について知りたいなら、「好き嫌いなく、なんでも食べる」といった表現が妥当だろう。

「いっそのこと、
『スリッパでもお鍋でも、なんでも食べます!』って答えてやろうかしら。」

質問も質問なら、答えも答えだ。
本人も「いっそのこと」というだけあって、随分と投げやりに出たものだ。
そもそも、「はい」か「いいえ」が求められているところで、
あまりにも答え方が自由過ぎるではないか。

「あら!」

自由人が何かを発見したらしい。

「『なんでも かんで たべられる』ですって!」

問診票は正しかった。
歯や歯茎、口腔内の問題の有無を知るために、「何でも噛んで食べられる」か、と尋ねていたのだ。

「いやね、なんでもかんでもひらがなで書くんだもの。」

確かに。
なんでもかんでもひらがなで書かれると、読みにくいばかりでなく、
こうした読み間違いを大いに誘発する。
まるで落とし穴でも掘られた気分だ。

いや、それにしても我が母上よ、
あなたはスリッパやお鍋までもお召し上がりか?