夏休みやら正月休みやらを取っては滞在しているお宅がある。
2012年から2013年への年越しも、やはりそのお宅で過ごした。
ママのご機嫌なご馳走が、溢れんばかりにテーブルの上を埋め尽くしたら、
パパは全員にシャンパンを注ぎ分け、
弟くんはテレビのチャンネルを「ゆく年くる年」に合わせる。
テレビから流れる12時ちょうどの除夜の鐘に合わせ、我々はシャンパンで乾杯した。
例年通りに新年を迎え、それぞれがご馳走をほおばり始めると、弟くんは私に尋ねた。
「除夜の鐘って、さっきの一回しか鳴らさないの?」
「108回撞くって、よく聞くよ」
「なんで108回なの?」
「煩悩の数だから、らしい。鐘を一つ撞くたびに、煩悩が一つずつ除き清められるのかな」
さっきまで黙々と、否、モグモグと、ご馳走のお皿に顔を突っ込みそうな勢いだったパパは、
突然顔を上げ、背筋を伸ばし、胸を張って、襟まで正して言った。
「俺の煩悩は桁が違う。108なんぞじゃ尽きないぜ!」
すると弟くんは、パパよりもいっそう背筋を伸ばし、胸を張って、襟を正し、そして言った。
「そもそも僕の煩悩は、鐘の音なんぞで逃げ出さないぜ!!」