ゴールデンウィーク中、実家で新聞の折り込みチラシを端から端まで読んでいたら、
駅前のスーパーの売り出しから目が離せなくなった。
5月11日(日)は母の日です!
お菓子です!
板チョコレート 55g 79円
○×スナック(韓国のり風味70g・プレーン90g) 各79円
果汁グミ(ライチ・ざくろ) 各81g 各138円
リンゴバイ 1個 667円
いのち4種ミックス 4個 399円
どら焼き 5個 267円
冒頭の「お菓子です!」との宣言通り、お菓子が並んでいる・・・、ように見える。
おや?
果たして、並んでいるのは本当に全てお菓子だろうか。
板チョコレートも、
○×スナックも、
果汁グミも、
リンゴバイも、
どら焼きも、
確かに、間違いなく、お菓子だ。
しかし、「いのち」はお菓子だろうか?
「この『いのち4種ミックス』って、何だろうか?」私の呈した疑問に、母は答えた。
「火の玉がグルグル回ってるのかしら。『4種ミックス』ってことは、4色あるのね」
すると、朝とは言い難い時刻まで寝ていた兄弟たちまで起き出して、我が家は「いのち」で持ち切りになった。
「火の玉は袋詰めにできないし、そもそも火の玉はお菓子ではない」
「だったら、そもそも『いのち』って何?」
「袋詰めにしたり、1個2個って数えたりできるものなの?」
「空気だけで膨れたような袋が並んでてさ、『むやみに開けるといのちが逃げます』なんて注意書きがあったりして」
「『4種ミックス』って言うように、種類分けしたり、それらをミックスしたりできるわけ?」
「『4回生まれ変われます』って意味かもよ。4種類の人生を試せる……」
「 (1)金満・生臭坊主のいのち、
(2)出世に目がくらんだ坊さんのいのち、
(3)社会的弱者と共に立ち上がる坊さんのいのち、
(4)ひたすらに仏の道を歩む坊さんのいのち」
「お前さんはそんなに坊さんになりたいのかい?」
「坊さんでも何でも、一つの枠の中の方が、種類分けが際立つかと思って。」
「『一人に一つずつ~、大切な いのち』って歌があったから、4個入りなら4人で分けないとね。」
「一人で2個とか、二人で半分ことかは、宜しくないの?」
「『いのち』をちぎったり、ましてや包丁を入れたりしちゃぁマズいでしょう。」
その後、駅前のスーパーから戻った母が玄関を開けるなり言った。
「『いのち』はね、母の日に売り出すんですって!」
気掛かりで居てもたってもいられなくなった母は、店の売り場をくまなく探し、それでも見つからず、店員さんに尋ねたらしい。
「日曜の朝一番に行って、必ず買ってくるわ!」
「いのち」は、いつの間にやら母の心に火をつけていた。
さて、ついに今日は母の日、当日だ。
プレゼントを持って、実家に帰ろう。
今頃は、駅前のスーパーで「いのち」を入手した母が帰宅していることだろう。
「いのち」にお目に掛かれると思うと、私までどうもそわそわしてしまう。
どうやら「いのち」は、いつの間にやら私の心にも火をつけていたようだ。
このたびの「いのち」がどんなもので、どんな4種がどうミックスされて、どう袋詰めされているのかは、実家に帰ってのお楽しみとしよう。
とはいえ、
もしかすると、
「いのち」は、いつの間にやら人の心に火をつけているもの、なのかもしれない。