2017年10月31日火曜日

目下の悩み

長年の夢がかなって、味噌を手作りした。

ウン十年ぶりに再会した伯母が毎年味噌づくりをしてきたことが分かり、
今年の初め、仕込みを教えてもらいに行ったのだ。

梅雨が明けた頃になると、伯母からメールがあった。
「さあ、良いにおいをさせて、蓋が開くのを待っているわよ。」

まずは、実家の母にプレゼントした。
それから、親戚、同僚、友人、ご近所さん……と、
お裾分けをしている。

『手前味噌』とはよく言ったもので、
「美味しかったわ。」と褒めてもらうたび、
「やっぱりウチの子、美人でしょう?」とばかりに、すっかり得意になっている。

ところが先日、大変なことに気付いた。
私の大切な手前味噌が、もうすぐなくなりそうなのだ。
しかも未だ、当の私は味見しかしていない。

件の伯母に伝えると、「あら、嬉しいこと言ってくれるじゃないの。」
カラカラと笑う晴れやかな声が返ってきた。

残り少ない初めての手前味噌を、
もちろん自分で存分に味わって楽しみたいものだ。
しかし同時に、人にチョッカイを出すというのも捨てがたい楽しみで、
お裾分けの相手は、「あの人も、この人も……」と尽きそうにない。

どちらの楽しみを取るべきか。
目下、僅かに残った味噌の前で、腕組みをして悩んでいる。