安普請のアパートでは、表の声まで良く聞き取れる。
「配達でーす!」
どうやら宅配便のお兄さんらしい。
昨夜ネットで注文したアレ、もう届いちゃうんだ。早いなぁ。
そうは言っても全身泡だらけの私、どうにもここから出られない。
お兄さん、ごめん。
再配達の時は、三秒以内に出るからね。
心の中で詫びていると、二度目の呼び鈴が鳴り、「配達でーす!」が聞こえた。
しばしの間があって、お兄さんの足音は遠ざかり始めた。
その時だった。
「あんた、何しに来たの?」隣のオジサンの声だ。
「宅配便で不在票を入れただけです。」お兄さんが応じる。
再配達の時は、三秒以内に出るからね。
心の中で詫びていると、二度目の呼び鈴が鳴り、「配達でーす!」が聞こえた。
しばしの間があって、お兄さんの足音は遠ざかり始めた。
その時だった。
「あんた、何しに来たの?」隣のオジサンの声だ。
「宅配便で不在票を入れただけです。」お兄さんが応じる。
「これ?」
畳みかけられる質問に、お兄さんは「不在票です」と繰り返した。
如何に安普請のアパートといえども、表の様子まで見えるわけではない。
けれど二つ目の質問では、小指を突き立てるオジサンの姿がありありと目に浮かぶ。
「あの部屋の女(つまり私)は、あなたのカノジョですか?」と問うていたのだ。
オジサン、ごめん。
私が日頃から男の二、三人も侍らかしていれば、そんな心配しなくて済んだのに。
しかも答えが「不在票」では、どれほどガッカリしたことだろう。
それにつけても男のカンというものは、なんとも当てにならんものだ。
そんなことを思った瞬間、再びオジサンの声がした。
そんなことを思った瞬間、再びオジサンの声がした。
「なぁんだ、てっきり誕生日のプレゼントでも持ってきたのかと思うじゃねぇか!」
そう、その通り。
これは「自分への誕生日プレゼントに」と、ひと月かけて選びに選び抜いた末、
ついに昨夜、ネットで注文したフライパンだった。
侮れませんな、男のカン。
そう、その通り。
これは「自分への誕生日プレゼントに」と、ひと月かけて選びに選び抜いた末、
ついに昨夜、ネットで注文したフライパンだった。
侮れませんな、男のカン。