何を隠そう、私も、母譲りの晴れ女である。
これまで、天候のお蔭で困ったりガッカリしたり、という経験がない。
そんな私に、この春最初の遠足のお誘いがあった。
そして、悪天候のため遠足は延期された。
遠足がフイになったその日、「珍しいこともあるものだ」と、台所で食器を洗っていると、
靴下が湿っているように感じられた。
「すすぎの水が跳ねたかな?」と、足元を見ると、
シンク下の収納扉から、ポタリポタリと水が滴り落ちている。
このため、私の靴下は実際に湿って・・・、否、見る見るうちにびしょ濡れになった。
「水が滴り落ちる原因は何だろう?」と、収納扉を開けた。
その瞬間、
シンク下の収納スペースから、大量の水が一気に流れ出た。
シンクの排水口から下に続く管が、何かの拍子にスッポリと外れたらしい。
すすぎの水は、排水口から進むべき管へ導かれることなく、全て収納スペースに流出した。
そしてそれが、収納スペースに溜まりながら、扉の隙間からポタリポタリと滴り落ち、
私の靴下を徐々に濡らしていったのである。
扉を開けたことで、いっぺんに状況が把握できた。
同時に、いっぺんに我が城の台所は水浸しとなった。
これまで、晴れ女の私に降りかかることを避けてきた雨粒たちが、
この日は皆で束になり、台所に押し寄せて来たようだ。
ありがとう。
これまでの幸運を、つくづく噛み締めた一日だった。
2012年3月22日木曜日
2012年3月19日月曜日
晴れ女
母は晴れ女である。
独身時代の母は、時折、職場の仲間と一緒に登山を楽しんだらしい。
彼女がいれば天気の心配は要らない、というのが、
登山仲間の間では、神話のように語り継がれていたそうだ。
若い頃から、母は晴れ女だったらしい。
結婚後の母は登山をしないので、山での晴れ女ぶりを確認することが難しい。
とはいえ、母と二人で旅行やらピクニックやらに行って、降られたことは一度もない。
しかも、私が親孝行休暇を取るのは、梅雨時と決まっている。
更に、私は母を誘う場所として、雨降りの多い地域を、つい選んでしまう。
それでも、東京に帰って親子で口を揃えて発する言葉は、
「我々に必要なものは、傘でなく日焼け止めクリームだ」である。
やはり今でも、母はかなりの晴れ女らしい。
ところで、真面目一筋の彼女は、
たとえ台風接近により暴風雨に対する注意報が出ていても、ミゾレや雪が降っていても、
行き着けのスーパーマーケットの『全品○割引!』への参戦だけは欠かさない。
家族の反対を押し切って、彼女が玄関を出ると、不思議と雨風は弱まる。
そして気を揉んで過ごした何十分かの後、帰宅した彼女を玄関で出迎えると、
不思議なことに、彼女の傘も、合羽も、長靴も、買い物袋も、特に濡れた様子はない。
せいぜい、ちょっとした小雨の中を歩いて来た、という程度なのである。
「思いのほか、小降りだったわ」という彼女の言葉は、まんざら嘘でも強がりでもないようだ。
すると彼女の帰宅を待ってましたとばかりに、再び雨風が強まる、というのが、
不思議ながら通例である。
どういうわけか、彼女の真上だけは、雨雲が避けて通るらしい。
そんな時、つくづく思う。
今や母は、最強の晴れ女である。
独身時代の母は、時折、職場の仲間と一緒に登山を楽しんだらしい。
彼女がいれば天気の心配は要らない、というのが、
登山仲間の間では、神話のように語り継がれていたそうだ。
若い頃から、母は晴れ女だったらしい。
結婚後の母は登山をしないので、山での晴れ女ぶりを確認することが難しい。
とはいえ、母と二人で旅行やらピクニックやらに行って、降られたことは一度もない。
しかも、私が親孝行休暇を取るのは、梅雨時と決まっている。
更に、私は母を誘う場所として、雨降りの多い地域を、つい選んでしまう。
それでも、東京に帰って親子で口を揃えて発する言葉は、
「我々に必要なものは、傘でなく日焼け止めクリームだ」である。
やはり今でも、母はかなりの晴れ女らしい。
ところで、真面目一筋の彼女は、
たとえ台風接近により暴風雨に対する注意報が出ていても、ミゾレや雪が降っていても、
行き着けのスーパーマーケットの『全品○割引!』への参戦だけは欠かさない。
家族の反対を押し切って、彼女が玄関を出ると、不思議と雨風は弱まる。
そして気を揉んで過ごした何十分かの後、帰宅した彼女を玄関で出迎えると、
不思議なことに、彼女の傘も、合羽も、長靴も、買い物袋も、特に濡れた様子はない。
せいぜい、ちょっとした小雨の中を歩いて来た、という程度なのである。
「思いのほか、小降りだったわ」という彼女の言葉は、まんざら嘘でも強がりでもないようだ。
すると彼女の帰宅を待ってましたとばかりに、再び雨風が強まる、というのが、
不思議ながら通例である。
どういうわけか、彼女の真上だけは、雨雲が避けて通るらしい。
そんな時、つくづく思う。
今や母は、最強の晴れ女である。
2012年3月6日火曜日
正直者
半年に一回、歯の定期健診を兼ねて、クリーニングを受ける。
まず、先生が私の口中を一通り眺め、何の武器も手に取らず、
「キレイにしてますね」と言ってくれると、この上なくホッとする。
今回は、この決め台詞のあとに、念押しのような質問が続いた。
「デンタルフロスは、毎日してますよね?」
「えぇ、昨夜から毎日、いえ、毎食後にしてます!」
「昨夜から、ですか?」
「はい。昨日の晩ご飯の後と、今日の朝ご飯の後と、昼ご飯の後、歯磨きもフロスも『親の仇!』ってくらいにゴシゴシやりました」
「昨夜より前は?」
「昨夜以降の歯磨きは気合を入れたので良く覚えているんですが、それ以前の歯磨きはどうも印象が薄くて」
「正直なんですね」
「はい。それだけが取柄なんです!」
「まあ、口の中を見れば分かるんですけどね。……正直なのは良いことですよ」
「!」
なんと歯医者さんは、口の中を見れば、その人が正直かどうかまでも分かってしまうらしい。
しかも、その歯医者さんが太鼓判を押してくれた。
正直なのは良いことだ、と。
よし、これからも正直に生きていこう。
そして半年後には、「殆ど毎日フロスをしました!」と言えることを目標にしよう。
そして半年後には、「殆ど毎日フロスをしました!」と言えることを目標にしよう。
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