2011年6月4日土曜日

勉強なんて馬鹿なこと

地方のローカル線に揺られながら、本を開き、読むともなく読んでいた。
すると、
近くに座っていた女性に声を掛けられた。

「あんた、勉強してんの?」
「いえ。ただの軽い読み物です」
「もとから、ここなの(地元出身か)?」
「いえ、温泉でノンビリしたくて、東京から来ました」
「あらやだ、彼氏も連れずに?」
「ええ、まあ」
「はるばる東京から温泉に来て、ノンビリしたいって言ったって、
 わざわざ勉強なんて馬鹿なことしてぇ!
 あたしはここで降りるから。元気でね」

彼女を見送り、本を閉じた。

東京にいる時は、自分を非日常の世界に連れて行くために本を開く。
そして、ゴミゴミとした慌ただしい日常とは異なる世界に行き、その中で精神を開放し休ませる。

一方、その時は、日常から離れ、長閑な場所で、長閑な電車に乗っていた。
車窓には長閑な景色が広がっているのに、それを眺めようともせず、
車両には、数人の人懐こい紳士淑女が座っているのに、オシャベリを一緒に楽しもうともせず、
東京にいる時と同じ方法で休もうとしていた。

『勉強なんて馬鹿なこと』を止め、ぼんやりと窓の外に目を遣った。
電車から降りた時には、昼寝の後のような爽快感があった。