2011年6月28日火曜日

ずっと不思議なこと

子どものころ同居していた祖母は、実に行動力のある人だった。

テレビのニュースで「○○公園でツツジが見ごろを迎えました」と
放送されるのを見て、振り返れば、
彼女はよそ行きの着物に着替えて髪を整えている。
今が見ごろなら、今こそ見に行くべき時なのだ。
何しろ、思いついたら即行動だった。


忘れ物の多い私を心配して、
自宅から徒歩10分足らずの小学校の教室まで届けものをしてくれたことがある。
しかも、私が教室に着くと、既に忘れ物は机上にあり、祖母の姿はなかった。

これから調理実習で使うはずの卵だ。
昨日、おばあちゃんと一緒に買いに行って、冷蔵庫に入れておいた卵だ。
冷蔵庫の扉を閉めた瞬間から、今の今まで、すっかり忘れていた卵だ。
1個だけ持って来ればよいはずの卵が、
私の机の上に10個置いてあるのを見て立ち尽くしていると、同級生が言った。
「『これを渡してね』って言って、すぐ帰っちゃったよ」

何しろ、思いついたら即行動だった。

否、いくら即行動ったって、速すぎる。

「いってらっしゃい」と私を見送った彼女が、
自転車にも乗れない彼女が、
私より先に学校の教室に忘れ物を届け、そして去った。

あの時は、どうやって私を追い越したのだろうか。