ついに今年もこの季節が来た。
これまでに私の住んだ地域、
引っ越した先、
学校の近く、
職場の近く、
どういうわけか、必ず立派なイチョウの木が沢山ある。
自称「犬の10分の1の嗅覚を持つ人間」である私にとって、
暑くなく寒くなく、カラリとした爽やかな日の多い、気候の上では最高のこの季節、
おもてに出るのが、ちょっと辛い。
その一方で、
あとは食べるばっかりに処理されたギンナンは、大好きだ。
ちょっと炒って、熱くなった殻を歯で割って、磨き上げた宝石のような中身にお目にかかると、
「ああ、今年もこの季節を迎えることができた」と、つくづく幸福を感じる。
そもそも、
イチョウの木からボトリと落ちてきた、あのギンナンを「口に入れてみよう!」と、
世界で最初にチャレンジした人を、尊敬し、感謝する。
その人の勇敢な挑戦なしには、今の私の幸福はありえない。
あの臭い部分を取り去る技を確立すべく、試行錯誤を重ねた歴代のチャレンジャーたちも、
深く尊敬し、感謝する。
彼らの、血のにじむような、否、鼻の曲がるような努力なしには、今の私の幸福はありえない。
そして、大きくて立派なギンナンを、あとは食べるばっかりに処理してから、
「確か、あんた好きだったわよね」と、毎年プレゼントしてくださる、あの方も、
深く尊敬し、心から感謝している。
彼女という偉大なる存在なしには、今の私の幸福はありえない。