鏡の前に立つと、頭頂部に何かを発見した。
ビビンゲ。
特段、天然パーマでもない私の髪の中に、縮れ毛が見られる時がある。
この縮れ毛のことを、物心ついた頃からこう呼んでいる。
何だか最近ビビンゲが増えた気がする。
そう思ったら、居ても立ってもいられなくなった。
ビビンゲを一本だけつまみ、ハサミで根元からチョキンと切った。
切ったビビンゲは、振幅3mm、周期20mmほどでサインカーブを描いている。
鏡に目を戻すと、おや、もう一本ビビンゲが。
一本だけつまみ、ハサミで根元からチョキン。
おや、また一本。
……
そうこうするうちに、気付けば30分が経過していた。
手元には、切ったビビンゲがこんもりと山になっている。
私は罪のないビビンゲをこんなにも迫害してしまった。
ごめん、ビビンゲ。
あれから何か月経つだろうか。
鏡の前に立つと、頭頂部に何かを発見した。
ビビンゲ、否、ビビンゲたち。
根元で切ったビビンゲたちは、一斉に勢いよく伸びていた。
もちろん、他の頭髪だって同じくらい伸びているのだろうが、
3センチほどに伸びたビビンゲたちは、総じて、実に勢いよく立っている。
さながら、頭頂部に温泉マークを密生させたようだ。
そうか。
私から迫害を受けたビビンゲたちが、一斉に立ち上がったのだ。
もう我慢できないと、鬨の声を揚げて、束になって掛かってきた。
これからしばらくの間、私は
頭頂部に温泉マークを密生させた状態で社会生活を営むことを余儀なくされた。
あの時は本当にごめん、ビビンゲたち。