大正生まれの彼女は、我らが路地を、毎日優雅に巡回する。
いつ見ても、どこから見ても、心身ともに健康そのものの彼女だが、
その秘訣は一体何だろう?
まず、「心」の方。
彼女は、人に会うたび、明るい言葉掛けを忘れない。
朝、ゴミ出しで顔を合わせて挨拶をすれば、「あんた、良い笑顔してるね。実に良い」
出勤時に「行って参ります」と言えば、「おぉ! カッコイイよ! 行ってらっしゃい」
なんて返してくれる。
毎日、町内の皆に、これだけ全面的にポジティブな言葉を掛けていれば、
間違いなく「心」の健康は保たれるだろう。
次に、「身」の方。
こちらはどうだろうか?
そう思っていたら、表から聞こえてきた話し声が、その疑問に応えてくれた。
我らが看板娘と、近所の紳士との会話である。
「ダンナ、元気そうね」
「いやぁ、これでも病院で色々調べてもらうと、次々悪いところが出てきてね」
「あらやだ!色々調べるからだよ。アタシなんか調べたことないから、病気一つしないよ」