ショッピング好きのママは、お土産屋さんでも、抜かりなく目を光らせる。
そして、お眼鏡に叶う品を見つけると、「お揃いで買おうよ」と強く私に勧める。
この度も、棚の端から端まで眺め回していた彼女は、一つの品物に目を留めた。
女性の握りこぶしくらいの大きさの土鈴を取り上げてコロコロと鳴らすと、私に手渡した。
どうやら老眼鏡をバッグから取り出すのが面倒らしく、書かれた文字を音読するよう促された。
「人生は 重荷を背負いて 歩む道」
彼女の目が輝いた。「お揃いで買おうよ!」
素焼きの土鈴はホコリが積もっても水洗いできない。掃除の得意でない私にとっては、致命的だ。
首を横に振る私に、彼女は例のごとく、この商品が如何にスグレモノであるかを説いた。
人生において、自分のしたことは、他人のせいにすることも、消し去ることも出来ない。
どんなに愚かな失敗でも何でも、自分で背負って進まねばならないのは当然だ。
更には、時に自分の力ではどうしようもないことが課題となる場合もある。
しかし、それも、「業(ごう)」や「カルマ」と呼ばれるもので、
恐らく一生を通して、逃げることも放り投げることも出来ない。
いずれにしても自分のリュックサックにしっかり入れて、自分で背負って歩くしかない。
たとえそれが、どんなに重い荷物でも、覚悟を決めて、背負って、そして歩き続けるのだ。
だからこそ、人生の荷物が重く感じたとき、あるいは放り投げたくなったときに、
この土鈴を鳴らし、改めて覚悟を決めるのだ!
「買おうよ」「買わない」の押し問答が、土産物屋の店先でしばらく続いた。
ところで、
オシャレなママは、たとえ温泉一泊旅行といっても、化粧品もアクセサリーも、ちょっとしたドレスのような装いも、何でも持って来る。
宿に着いたと言ってはお色直しをし、皆が宿の名前をプリントされた浴衣で過ごす夕食タイムには、素敵にドレスアップして現れる。
さらには、海もプールもないところへ行くのに、トランクの中には水着も入っている。
ヨガをしないのに、ヨガマットもある。
それだけに、荷物がとてつもなく多い。
ちょっとした引越しにも見える。
そんな荷物が運べるのは、ひとえにパパと弟くんがいるお蔭だ。
ちょっとした引越しにも見える。
そんな荷物が運べるのは、ひとえにパパと弟くんがいるお蔭だ。
・・・あらら?
ねえ、ママ、
自分の荷物は自分のリュックサックに入れて、自分で背負って歩くんじゃなかったの?
こう思った瞬間、むしろ合点が行った。
そう、ここでの『荷物』は、比喩だもの。
ママは、パパや弟くんが当然のこととして荷物を運んでくれるように、
日頃から彼らの胃袋とハートを鷲掴みにしている。
彼らに荷物を持ってもらうだけの、その土台を、365日24時間掛けて、しっかりと固めているのだ。
つまり彼女は、この巨大な荷物を、自分で運んでいると言っても差し支えない。
結局、彼女は釣れない私をなじりながらも、一人でその土鈴を買った。
宿では何度となく土鈴を箱から出し、よくよく眺めてはコロコロ鳴らし、「あんたも買えば良かったのに」と言った。
「ねえ、これ、また読んでよ」
寝入り端に声を掛けられ、目をこすりながら隣に座って読んだ。
「人生は 重荷を背負いて 歩む道」
ママは今一度目を輝かせ、この土鈴の素晴らしさを説いた。
「もう、寝てたのにぃ」と思ったのも束の間、つい付き合ってしまい、つい楽しくなってしまう。
そして、ついつい、老眼鏡の役目を買って出てしまう。
そう、私の胃袋とハートも、長い年月を掛けてしっかりと鷲掴みにされてしまったのだ。
ねえ、ママ、
自分の荷物は自分のリュックサックに入れて、自分で背負って歩くんじゃなかったの?
こう思った瞬間、むしろ合点が行った。
そう、ここでの『荷物』は、比喩だもの。
ママは、パパや弟くんが当然のこととして荷物を運んでくれるように、
日頃から彼らの胃袋とハートを鷲掴みにしている。
彼らに荷物を持ってもらうだけの、その土台を、365日24時間掛けて、しっかりと固めているのだ。
つまり彼女は、この巨大な荷物を、自分で運んでいると言っても差し支えない。
結局、彼女は釣れない私をなじりながらも、一人でその土鈴を買った。
宿では何度となく土鈴を箱から出し、よくよく眺めてはコロコロ鳴らし、「あんたも買えば良かったのに」と言った。
「ねえ、これ、また読んでよ」
寝入り端に声を掛けられ、目をこすりながら隣に座って読んだ。
「人生は 重荷を背負いて 歩む道」
ママは今一度目を輝かせ、この土鈴の素晴らしさを説いた。
「もう、寝てたのにぃ」と思ったのも束の間、つい付き合ってしまい、つい楽しくなってしまう。
そして、ついつい、老眼鏡の役目を買って出てしまう。
そう、私の胃袋とハートも、長い年月を掛けてしっかりと鷲掴みにされてしまったのだ。
つまり彼女は、私という老眼鏡をかけて、自分で読んでいると言っても差し支えない。
でもママ、寝入り端だけは勘弁してね。
でもママ、寝入り端だけは勘弁してね。