干し芋干し器(*)をもう一つ作って、実家にプレゼントした。
家族が、「干し芋を作ってみたら、スルメのように硬くなってしまった」と漏らした。
世界中の、むかし話を初めとする様々な物語において、
年長者達の固定観念を打ち破り、最も奥深い知恵をもって物事を実践するのは、
他ならぬ末っ子と相場が決まっている。
おお、知恵の浅い年長者達よ。
この家で最も奥深い知恵を持つ末娘が、干し芋の作り方を教えてやろう。
① 芋を洗い、蒸かす。
② 途中、火の通り具合を見るために、芋の端っこを少し切り取り、バターを付けて食べる。
③ もう少し蒸かして、今一度、端っこを切り取り、一つまみの塩を振って食べる。
④ 蒸しあがったら、繊維方向に包丁を入れ、1cm程度の厚みに切る。
このとき、マヨネーズをつけて味を見ることを忘れずに。
⑤ 切った芋を、干し芋干し器に並べる。
このとき、形が崩れたものがあれば、誰にも見られないうちに、お腹の中に片付けておく。
⑥ 芋を並べた干し芋干し器を、ベランダに干す。
⑦ 干し具合確認のため、およそ1~2時間おきにベランダに出ては、適当な芋を選び、かじる。
そうこうしているうちに、2日ほどで干し芋干し器は空になっている。
この通りに作れば、スルメのように硬くなる心配はない。
ざっと説明を終えたところで、家族からコメントがあった。
「それでは、完成版の干し芋が手に入らない」
おお、知恵の浅い年長者達よ。
この家で最も奥深い知恵を持つ末娘が、「干し芋を作る」とは何かを教えてやろう。
そもそも、「干し芋を作る」とは、純粋にそのプロセスを楽しむためのいとなみであり、
浅ましくも、完成品を得るためにする行為ではない。
すると、家族から質問が出た。
「完成版の干し芋は、どうやって手に入れるのか?」
おお、知恵の浅い年長者達よ。
この家で最も奥深い知恵を持つ末娘が、完成版の干し芋の入手方法を教えてやろう。
お店屋さんに行って、買う。
私の予想をアッサリと裏切り、
家族は呆れた顔を見せることなく、揃って神妙に、「なるほど」と頷いた。
あらら?
実はこれ、本当に奥深い知恵だったのだろうか。