暑くて暑くて、玄関と、ベランダの戸と、窓と、三方を開け放して昼寝をしていた。
「誰かいませんか?」と声を掛けられたような気がして、目が覚めた。
台所の真ん中で、お向かいさんの仔猫がこちらを見ている。
玄関から入ったらしい。
起き上がって近付くと、「ミヤーウ」と言った。
ラブリー。
しかし、我が城は動物の飼育を禁止されている。ご退室願おう。
玄関から前足と頭だけ外に出して、
お尻をこちらに残したまま、しばらく名残惜しそうに振り向いていたが、
もう一声鳴いて去っていった。
已む無く、玄関を閉めた。
「ジジッ」と音がした。
蝉がベランダの戸から飛び込んできて、畳の上でひっくり返っている。
自力では寝返りも打てないらしい。
そっと新聞紙ですくい上げて、表に放り投げたら、思いの外、元気に飛び去っていった。
已む無く、ベランダの戸を閉めた。
天井に気配を感じた。
大きな蜂が部屋の中を飛んでいる。
窓以外、入口も出口もない。
団扇で必死の誘導をし、10分ほどのち、やっとのことでお引取りいただいた。
已む無く、窓も閉めた。
結局、空気の出入り口を全て締め切った我が城は、あっという間に蒸し風呂のようになった。
事実上、自らの城をしめ出された私は、
已む無く、近くのスーパーマーケットやら図書館やらで日中の暑さをしのいだ。
人間以外の来訪者の多い一日だった。