体の小さいことに、何となく劣等感を持ち、いつも「伸びたい」と思っていた。
背が伸びることは、将来の夢だった。
中学生の間に身長が伸び、クラスで背の順に並ぶと、後ろから3番目になった。
それでも、「伸びたい」は、口癖として残っていた。
背が伸びることは、夢であり続けた。
高校生になると、身長の伸びの止まる同級生が現れた。
そうなると、「やっぱり、伸びたい」と思った。
背が伸びることは、やっぱり、夢であり続けた。
大学生になると、誤差も含め、身長の縮む同級生が現れた。
しかし私は、毎年の健康診断で、僅かずつとはいえ、かろうじて身長が伸び続けていた。
そうなると、「やっぱり、もっと、伸びたい」という気持ちは強まった。
背が伸びることは、益々やっぱり、夢であり続けた。
更に年を重ねても、健康診断で、身長が、少なくとも縮むことはなかった。
「まだまだ伸びる、かも知れない」、私はそれを誇りに思った。
背が伸びることは、いくつになっても、夢であり続けた。
3年ほど前の健康診断でのこと。
例年どおり、「背が伸びていますように」と祈りをささげてから、
靴下を脱いで、身長計測台に乗り、深呼吸をして肩の力を抜き、背筋を伸ばし、あごを引き、
万全を期して測定の瞬間を待った。
小柄な看護師さんが現れ、私の頭上にある、背を測るための小さな板を見上げた。
一瞬考えるようなそぶりをした後、彼女はジャンプして板に飛びつき、空中でアタックした。
痛かった。
頭に、板がめり込んだ感じがした。
彼女は計測結果を読み上げた。
前年度より、3mm縮んでいる。
「すみません。どうしても納得いかないので、もう一度お願いします」
「体重を量りなおされる方は結構いらっしゃるんですけどね」
「体重を量りなおさない分、身長にチャンスをください!」
「体重を量りなおさない分、身長にチャンスをください!」
兎にも角にも、再チャレンジが実現した。
最終結果は前年度より2mm縮んだ数値だった。
「もう二度と背なんか測るもんか!」とふてくされ、
それからというもの、健康診断のご案内に応じていない。
いずれの日か、健康診断の受診を再開する必要が生ずるだろう。
そして、その頃には、きっと毎回縮み続けることだろう。
それでも私は、自分という人間に、いつまでも『伸びしろ』があることだけは信じている。
きっと私は、一生涯、「伸びたい」と願い続けることだろう。
最終結果は前年度より2mm縮んだ数値だった。
「もう二度と背なんか測るもんか!」とふてくされ、
それからというもの、健康診断のご案内に応じていない。
いずれの日か、健康診断の受診を再開する必要が生ずるだろう。
そして、その頃には、きっと毎回縮み続けることだろう。
それでも私は、自分という人間に、いつまでも『伸びしろ』があることだけは信じている。
きっと私は、一生涯、「伸びたい」と願い続けることだろう。