2012年5月2日水曜日

愛してます!

「愛し合ってるかい?」というフレーズで知られる歌手がいた。

子どもの頃、今となっては懐かしいカセットテープで兄弟が聞いている歌を、私も傍で聞いた。
年上の兄弟も、テープレコーダーから流れる歌も、
どことなく不良っぽく、そして大人っぽく感じられ、
「チビの私が聞いても構わないのだろうか?」とヒヤヒヤしたのを覚えている。

私の乏しい視聴経験から言えば、
「愛し合ってるかい?」というフレーズで知られる彼が、
「愛し合ってるかい?」と言うのを聞いたことは、殆どない。
その一方で、
「愛してます!」と叫ぶ彼の声を、これまで何度聞いたことだろう。

この、一見矛盾とも取れる事実を、私はこう解釈する。

きっと彼は、世界中のみんなが愛し合うことを、
その、机上の空論でも上っ面だけでもない、縦横無尽に張り巡らされた愛によって支えられた、
根強く平和な世界を、望んだのではないだろうか。
だからこそ、
「最終目標は、みんなで愛し合うことだよ。みんな、愛し合ってるかい?」という思いが、
そのまま聞く者に伝わった結果として、
「愛し合ってるかい?」のイメージが落ち着いたのだ。

一方、
その最終目標に向かうために、実際彼の口から発された言葉は、
何万回もの「愛してます!」だった。

みんなが愛し合うために、僕にできること、
それは、まず、僕からみんなに愛を発信することだ。

「『みんな』がやってくれないから、僕は始められない」なんてコトを言っているヒマはない。
誰だか分からないような『みんな』に、責任を押し付けているヒマもない。
「お前が最初に動けよ」なんて誰かをけしかけているヒマもない。
だって、僕らの人生の時間には、限りがあるのだから。

彼の「愛してます!」には、
そんな自分の有限性を知るがゆえの、無限の可能性が現れていたのかもしれない。

・・・そんなことをボンヤリと思っていたら、一つ気付いた。
今日は、彼の命日だ。